映画「北朝鮮強制収容所に生まれて」が危機知る機会に(2月28日付夕刊フジ【いざ!幸福維新】にて掲載)

 3月1日より映画『北朝鮮強制収容所に生まれて』が、東京・渋谷のユーロスペースで公開されます。政治犯強制収容所の完全統制区域で生まれた申東赫(シン・ドンヒョク)さんの半生を、本人のインタビューでつづったドキュメンタリーです。

 私は6年前、申さんの著書『収容所に生まれた僕は愛を知らない』を発刊直後に読んでいましたが、まさかご本人と対談する日が来るとは思いもよりませんでした。収容者から「歌」というものの存在を初めて教わった話や、その収容者とともに収容所から脱出するとき、電気鉄条網に引っかかり絶命した彼の背中を乗り越えたエピソードなど、読後の衝撃は忘れられません。

 実際に申さんにお会いして、透明感のある魅力的な青年だと感じました。強制労働や拷問、そして、自らの密告による母と兄の公開処刑--壮絶な人生の意味を求めながら、今は収容者の解放のため活動しています。

 強制収容所で亡くなった人は、過去50年間で数十万人と推計されます。また、1990年代半ばの数年間だけでも300万人が餓死したと言われています。

 今月17日、国連調査委員会が北朝鮮に関する報告書を発表し、公開処刑などの人権侵害や外国人拉致の実態を記載し、「これほどの人権侵害がまかり通っている国は、現代では類を見ない」と断罪しました。

 国際社会の圧力は高まっていますが、結局、金王朝を存続させたままでは、強制収容所の解放も、日本をはじめ12カ国に及ぶ拉致事件の解決も不可能なのです。

 残念なことに、この映画は親北の国会議員の反対で、韓国の映画館では1館も上映されないとのこと。強硬な反日姿勢や、共産中国への傾斜など、朴槿恵大統領の外交は常軌を逸しており、このままでは赤化した朝鮮半島が核を持って日本と対峙するという最悪の事態にもなりかねません。

 韓国政府が正常化し、自由主義陣営と手を握り合い、人間の尊厳を守り抜くために、1人でも多くの日本人や韓国の方がこの映画を通じて、何が本当の危機かを知っていただきたいものです。(幸福実現党党首・釈量子)

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