「東京都」の沖ノ鳥島を守れ
日本最南端の島・沖ノ鳥島沖を、7月3日、4日と2日連続で中国の海洋調査船が日本に連絡なく航行しました。
3日はワイヤを曳航しており、潜水艦の航行などの「軍事目的」と推定される調査を実施したと見られます。
海上保安庁が警戒にあたり、ようやく5日にEEZ(Exclusive Economic Zone 排他的経済水域)を出ました。
排他的経済水域とは、その地域の鉱物などの資源を優先的に採れる地域のことです。
東京都民の私たちにとっては遠い話と思いがちですが、実は「沖ノ鳥島」はれっきとした東京都の一部で、小笠原村に属しています。
東京都の排他的経済水域(EEZ)を、中国の船が勝手に調査し、警告して、ようやく出て行ったということです。
沖ノ鳥島の保全
この「沖ノ鳥島」は台風の通り道でもあり、過酷な自然環境によって水没の危機にあります。
そこで日本政府は、88年に300億円を投じて波消しブロックを造り、自然崩壊を防ぎました。
国際海洋法条約では、「島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう」と規定しています(第121条一項)。
沖ノ鳥島は高潮時に頭を出しているので、この規定を根拠に、わが国は沖ノ鳥島を「島」として、二〇〇海里の排他的経済水域(EEZ)を設定しています。
日本の陸地は38万平方メートルに対して、沖ノ鳥島のEEZは40万平方メートルにもなります。
附近の海底には、コバルトやマンガンなど希少金属があることも分かっているので、ここは極めて重要な島であるわけです。
東京都庁動画配信サイト「沖ノ鳥島ってどんな島?」↓
http://www.metro.tokyo.jp/SUB/MOVIE/TOKYOMOVIE/MOVIE/oki0.htm
中国はなぜ沖ノ鳥島を狙うのか
ところが中国は、この沖ノ鳥島は「島」ではなく、「岩」だと主張しています。なぜ中国はそのようなことを主張するのか?
それは、
「沖ノ鳥島の地理的戦略的重要性にある」
と、中国軍事専門家の平松茂雄氏は言います。
4日、平松茂雄氏は、
「中国が数千キロも離れた沖ノ鳥島付近で海洋調査を行う目的は、台湾の軍事統一に備えて、横須賀海軍基地から出航する米国の空母機動艦隊や、米海軍基地グアムから原子力潜水艦が台湾近海に出動することをこの海域で阻止することにある」
と指摘しました。
「中国が台湾を軍事統一?!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、
中国の憲法を見てもはっきりと
「台湾は中華人民共和国の神聖な領土の一部である。祖国を統一する大事業を完成するのは台湾の同胞を含める中国の全人民の神聖な職責である」
と記載されています。
沖ノ鳥島は日本です。
日本の広大な海洋権益も守らねばなりませんが、加えて台湾、そして米国への脅威も念頭におかねばならないわけです。
中国は日本政府による保全工事を評価していた
沖ノ鳥島は、波消しブロックやコンクリートで保全を図っているわけですが、
興味深いのは、1988年3月11日付の中国の新聞である『解放軍報』は「島嶼、海洋と民族の将来」という署名理の記事で、
「日本政府が巨額の資材を投入して島嶼を保持してようとしている」
「過去においては思いもよらなかった優れた事業である」
と、全面的に評価しています。
こうした事実を見ると、今、沖ノ鳥島は「島ではない」として日本の排他的経済水域を中国の内海のように動きまわる様子は、勝手に「国境を書き換える」中国の体質がよく分かります。
日本の領土はおびやかされていますが、尖閣諸島のある沖縄県だけの話ではありません。「沖ノ鳥島」も危ないのです。
私は、日本の領土であり、東京都である「沖ノ鳥島」を守ります。