日本が中東平和の架け橋に(2月27日付夕刊フジ【いざ!幸福維新】にて掲載)

 イスラム過激派組織「イスラム国」許すまじ-。日本人人質殺害事件を受けて、安倍晋三首相は「罪を償わせる」と非難し、欧米首脳も「悪の権化」(キャメロン英首相)と断罪するなど、世界で怒りが広がっています。イスラム国の暴挙には怒りを禁じ得ず、その卑劣かつ残忍な行為は断じて容認できません。

 自国民の生命・安全を守るのは、もとより国家の責務です。日本人がテロの標的となるなか、不測の事態に備え、自衛隊による在外邦人救出を可能とする法整備を急ぐとともに、国防の手足を縛る憲法9条の改正にも早急に着手しなくてはなりません。

 卑劣なテロ撲滅のために、国際社会が結束して取り組むのは当然ですが、その一方で冷静な見方が求められているとも感じます。米国などの有志連合はイスラム国に対して空爆を行っていますが、多数の無辜(むこ)の市民も巻き添えになっており、新たな悲劇を生むばかりか、憎悪の連鎖を招きかねません。

 欧米はイスラム国を悪魔のように見なし、その壊滅を目指していますが、これはかつての日本に対する原爆投下や東京大空襲といった、欧米の一方的価値観に基づく大量虐殺と同様の構図と見えなくもありません。卑劣なテロを許すことはできませんが、「欧米ならば何をやっても許されるのか」という観点を忘れてはならないと思います。

 イスラム国台頭の背景には、米オバマ政権の対外政策への消極姿勢やイラク戦争後の混乱などが見て取れますが、その深層には、欧米流の価値観に対する、いわば“異議申し立て”の側面があることを見逃してはならないでしょう。イスラム国と一般のイスラム教徒との混同は避けつつ、イスラム世界への理解を深めることなくして、中東の恒久平和に向けた、根本的解決の道はないと考えます。

 わが党は、「ワールド・ジャスティス(世界的正義)」の実現に向けて、宗教的寛容の精神を持つ日本こそが、キリスト教圏とイスラム教圏の懸け橋としての役割を果たすべきと考えます。その一助となるような活動を展開することこそが、犠牲となったお二人に対する何よりの供養になると信じるものです。

 

(幸福実現党党首・釈量子)

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