10月1日、安倍晋三首相が来年4月からの消費税率引き上げを表明しました。私たちが一貫して訴えてきたように、消費増税が招くのは日本経済の沈没にほかならず、増税を阻止できなかったことは本当に残念です。
安倍首相は「経済再生と財政健全化は両立し得る」として増税に踏み切りましたが、消費増税は経済成長の足かせでしかありません。というのも、日本の国内総生産(GDP)の約6割は個人消費が占めており、円安や原発停止の影響で電気料金や生活必需品の値上がりが続くなか、ここに消費増税が加われば、家計負担の増大で消費低迷は必至だからです。
政府は増税に伴う景気悪化を抑制するために5兆円規模の経済対策を打ち出してはいますが、一時的な対応で消費増税による恒久的なダメージを相殺できるはずもなく、再来年10月の再引き上げもにらんだ弥縫(びほう)策とみることもできるでしょう。
今後の課題は、増税による日本経済の落ち込みを最小限にとどめるべく、成長力を強化し、賃金上昇を実現することです。
安倍政権は賃上げを経済界に要請しています。これはよいことのように見えるかもしれませんが、賃金を上げるか否かは企業の裁量であり、いささか行きすぎではないかと考えます。
政府が今、注力すべきは、企業が賃上げに踏み切れる経済環境の整備を図ることに尽きます。「日本の繁栄は、絶対に揺るがない」という先行きへの確信が持てるような成長戦略が打ち出されてこそ、企業も賃上げや雇用拡大を決断できるというものです。
そのためにはわが党が訴えるように、リニア新幹線の早期開業などの交通革命や原発再稼働をはじめ、法人税の大幅減税にも切り込むべきです。法人税を納めている企業は3割程度にとどまるため、法人税減税は効果がないとの指摘もありますが、海外からの企業の進出を招くとともに、日本企業の国外流出を防ぐ有効な手立てともなることは間違いありません。
今回の消費増税は誤った政策決定と言わざるを得ませんが、安倍首相には日本の未来を開く政策遂行を強く期待します。(幸福実現党党首・釈量子)