月刊The Liberty(2014年9月号)に『釈量子の獅子奮迅(ししふんじん)ー世の中は変えられる!』の連載記事が掲載されました。今月号では『山奥の村を「奇跡の子宝村」にした村長の「成長戦略」とは』と題して、ご紹介いたします。
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地方に足を運ぶにつけ、少子化・過疎化の深刻さを感じます。全国知事会議は7月15日、人口減少を「国家の基盤を危うくする重大な岐路」として、「少子化非常事態宣言」を採択しました。地方自治体の危機感には、並々ならぬものがあります。
7月初め、そんな各自治体関係者が「奇跡の村」「子宝村」と呼ぶ、長野県南部の下條村に行政訪問いたしました。
下條村は、都会から遠い山村。少し前には大きな企業もなく、唯一の自慢が「俳優・峰竜太の出身地」だったとか……。
しかし下條村は、少子化・過疎化を食い止めたどころか、10年で人口を1割増やし、出生率は1・97人を叩き出しました(1998~2002年平均)。これは、県内1位の数字であり、全国平均1・29人(04年)を大きく上回っています。
その成功の裏には、92年から村長を務める伊藤喜平氏の優れた手腕がありました。
村中の意識改革で全国4位の財政健全性へ
村のガソリンスタンド店を経営していた伊藤氏は、「人が減ったら村が衰退する」という危機感から、村議を経て村長になりました。
伊藤村長はまず、改革を支える「お金」づくりから始めます。
第一にてこ入れしたのが、仕事が遅く、コスト感覚のない役場職員の意識改革でした。研修として、職員全員をホームセンターの店頭に立たせたのです。民間の仕事の厳しさと、達成感を知った職員の目つきは、みるみる変わっていきました。
その結果、行政効率が向上。現在では同じ規模の自治体の半分程度の人数で、行政を回しています。
次に村長は「資材支給事業」という政策を実行しました。村には道路・農道整備の需要が多くありますが、この政策は「セメントや重機の燃料は村が用意するが、簡単な工事は村民が行う」という驚くべきものです。当然、村民は強く反発しました。
しかし、ある集落が「役場の職員も頑張っているから」と道路を造り始めると、他の集落もそれに続きました。ひとたび道路ができると、村民たちは自作の道路に誇りを持ち、その上に建設年月日を刻印し、記念としているそうです。
村長いわく、「試練を克服し、難しい目標にチャレンジして得た、達成感や感動が『幸せ』なんです」。村が一体となった努力が功を奏し、実質公債費比率(注1)は全国1742市町村中、4位となり、村の貯金も59億円に上りました。
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