【太陽の昇る国へ】“現代のマルクス”にくみするな

「フジサンケイ・ビジネスアイ」WEBサイトに、連載記事【太陽の昇る国へ】が掲載されましたので、その一部を転載いたします。

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 --仏の週刊紙「シャルリー・エブド」のパリ本社などでイスラム過激派とみられる銃撃テロ事件が発生。世界に衝撃を与えました

 今回の事件は「シャルリー・エブド」がムハンマドの風刺画を掲載。これに対する反発から引き起こされたとみられています。事件を受け、仏のオランド大統領が「言論の自由が標的になった」と非難しましたが、かの国における「表現の自由」は、革命以来の重要な権利であり、テロで自由が脅かされるのは許しがたいことでしょう。

 テロ事件を受けて、フランス全土で大規模な反テロ行進が行われ、約370万人が参加。パリでの行進には、40カ国以上の首脳が顔を揃えましたが、欧州首脳ばかりか、パレスチナ問題をめぐり対立するイスラエル、パレスチナ自治政府の指導者らの姿もみられ、テロに対し、国際社会が一致結束して取り組む姿勢をアピールしています。

--この問題をどう見ていますか

 フランスには伝統的に宗教を風刺することをタブー視しない風潮がありますが、イスラム側からみれば、ムハンマドを描いた風刺画は信仰に対する冒涜(ぼうとく)にほかなりません。今回の事件に対し、イスラム世界からもテロ行為を非難する声明が発出されているものの、これは風刺そのものを是としているわけでは決してありません。

 テロという暴力で報復するのはもちろん肯定できませんが、表現の自由の名のもと、人々が大事にする信仰や宗教を侮辱することは許されるのかという検討はなされてしかるべきだと思います。

 また、事件の背景には、西洋の価値観とイスラム世界の価値観の相克があることも見て取れます。イスラム系移民を数多く受け入れる欧州では、事件を契機に、反イスラム感情の高まりから移民排斥の動きも強まりつつありますが、憎悪が深まり、暴力やテロが連鎖する事態は避けねばなりません。

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