消費増税に伴う軽減税率導入がメディアをにぎわしました。自民と公明の溝は深かったものの、対象を酒類、外食を除く飲食料品とすることなどで決定した背後には、官邸の意向が働いたとみられています。参院選や一部で噂される「衆参同日選」などをにらんだ思惑がうかがえます。
しかし、昨春の消費増税で個人消費が落ち込んでいるなか、10%への再増税が実施されてしまえば、さらなる消費低迷による景気悪化は避けられません。
再増税の負担を緩和させたいのなら、軽減税率を導入するのではなく、経済の足かせともなる増税自体を中止すべきです。
そもそも、大型間接税の導入は石油ショック後の財政赤字拡大を受けて検討されるようになりました。しかし、消費税が創設されたにもかかわらず、財政赤字は増大し、導入が検討され始めた頃の10倍に膨れ上がっています。加えて、その後の増税は不況の要因ともなっています。
消費増税は百害あって一利なし。景気回復に向け、幸福実現党は5%への減税を訴えていますが、税率は低いに越したことはありません。
今回、新聞への軽減税率適用が決まりましたが、そもそも増税に賛成していないので、原則、言論・出版の自由を守る上では賛成です。活字文化を守るという筋を通すのであれば、書籍など出版物にも適用すべきです。ただ、マスコミには、政権に利用されないよう注意を促したいところです。
いずれにせよ、国民から増税で富を吸い上げて再配分を行う非効率な経済財政運営では、政府の肥大化をもたらし、経済成長の原動力たる民間の活力を削(そ)ぐだけです。国民の負担を軽減し、自由の領域を広げることで、経済成長とその果実である税収の自然増を目指すのが、わが党の経済政策の基本方針です。
今年度の補正予算案では、選挙を見据えてか、低所得の年金受給者への“合法的な利益供与”ともいうべき給付金などが盛り込まれましたが、一時的なバラマキ政策をもって、本格的な景気回復を図ることはできません。
日本経済の活性化に必要なのは、大胆な減税や規制緩和など「自由からの繁栄」に向けた政策にほかならないと確信します。
(幸福実現党党首・釈量子)