6/7 トランプ大統領の対中報復開始!日本はどうする?【後編】

◆世界に広がる中国賠償責任論
前編では、米トランプ政権が繰り出した「対中報復の3連打」を述べましたが、新たな中国制裁としてコロナの損害賠償で責任を取らせようという動きもあります。

5月1日、ワシントン・ポスト紙は、「アメリカの政府高官が、中国に金銭的な賠償を要求する可能性を検討し始めている」と報じました。

米国では、すでに中国政府や武漢の病毒研究所の関係者などを相手にネバダ州、フロリダ州、テキサス州で、弁護士組織や企業が集団訴訟を立ち上げています。

さらに、ミズーリ州では4月21日、州の司法長官が、「中国政府は新型コロナの危険性について嘘をつき隠蔽した」として、損害賠償請求の訴訟を起こしています。

もちろん、「中国という国家を訴えることができるのか」という議論もあります。

通常、裁判では「主権免除の原則」があり、「国家は外国の裁判権に服さない」という国際法上のルールがあります。

しかしアメリカでは、2016年に「テロ支援者制裁法」が成立したことがありました。

これは2001年9・11のハイジャック犯19人のうち、15人がサウジアラビア国籍だったことから、「主権免除の原則」の例外を認めて、テロの犠牲者がサウジ政府を訴えることができる道を拓きました。

今回のコロナでも、共和党トム・コットン上院議員らが、同様の趣旨の法律を作成しようと動いています。

他にも、中国に賠償を求める動きは世界にも広がっていて、フランス国際ラジオFRIによると4月29日の段階で、「コロナに対して世界8か国が、中国に100兆ドルの損害賠償を求めていて中国が激怒している」と報じました。

それによると、「アメリカ、イギリス、イタリア、ドイツ、エジプト、インド、ナイジェリア、オーストラリア」の8ヵ国で、賠償金額の合計は100兆ドル(約1京1000兆円)を上回り、中国の7年分のGDPに相当する額に達するとのことです。

加えて、「中国共産党幹部のアメリカ国内資産の凍結」という方法もあります。これまでもアメリカはイランや北朝鮮の政府高官、団体、企業などアメリカ国内の資産を凍結しています。

中国共産党の幹部は、莫大な資産をドルに換えて、海外に移転させており、カリフォルニアやニューヨークに数多くの不動産を所有していると言われています。これらを差し押さえることはかなりの効果があります。

◆日本はどうすべきか?
では日本はどうすべきでしょうか。二つあります。

1つめは、「中国マネーに対する警戒強化」です。

アメリカがファーウェイの切り離しに動く中、中国は技術力のある日本企業に目を向けてくるのは間違いありません。

欧米ではコロナショックで株価の下がった自国の企業を、中国による買収から守るために防衛策を強化しています。

日本も、法律上の規制と、企業への資金支援の両面から、中国による買収防止策を強化すべきです。

2つめは、「対中包囲網の構築」です。

中国国家安全省が4月初旬、中国の有力シンクタンク「中国現代国際関係研究所(CICIR)」の報告書を中国政府指導部に提出しました。

報告書によると、「世界的に高まる反中感情が、1989年の天安門事件以来の水準に悪化する恐れがある。アメリカが新型コロナ対応を巡り中国への反発をあおり、中国政府はアメリカとの武力衝突という最悪のシナリオも想定する必要がある」と指摘したようです。

中国はこうした情勢分析のもとで、「中国包囲網の結束」を破るために、天安門事件の時と同じように、日本の取り込みにかかると思われます。

天安門事件の後、国際的非難を浴びた中国に対して、国際社会復帰の道を拓いたのは、ほかならぬ日本の対中外交でした。

歴史の汚点を二度とつくってはならないと思います。

日本は、中国では経済的利益を得て、米国には安全保障をお願いする、という「両天秤外交」から、きっぱり決別すべきです。

今こそ、アメリカを中心に、自由・民主・信仰といった価値を重んじる国々による「中国包囲網」の中で、日本は、アジアのリーダーとしての役割を果たすべきです。

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