4/27 人民元・基軸通貨への挑戦VS日米豪印クアッド+欧州【後編】

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幸福実現党党首 釈量子

◆中東で人民元取引拡大。米ドル覇権への挑戦

中国が中東に接近する狙いの二点目は、中東での人民元取引拡大です。これは、米ドル覇権への挑戦を意味します。

3月30日の「ウォール・ストリート・ジャーナル」によると、中国とイランは「中国イラン銀行」も設立すると述べています。

現在、世界の貿易や金融は米ドルを中心に取引されています。

米国の力の源泉は軍事力や経済力に加え、このドルの支配力にあります。

米国が管理するドルの決済システムから、制裁対象の銀行や企業を排除すれば、その後の貿易決済などが出来なくなります。

中国やイランにとって、このドル支配を打ち破ることは大きな目標です。今回の協定により、人民元の取引を増やしていくはずです。

気になるのは、中国の最大の原油輸入国、サウジアラビアの動きです。

4月3日の香港の「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」は、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコが3月、「中国のエネルギー安全保障を確保することは、今後50年間で最大の優先事項である」と報じています。

同紙では、「この発言から、将来的に、中国のサウジアラムコから輸入する原油は、人民元で取引される可能性が高い。そうなれば、他の国に波及する可能性がある」と指摘しています。

少し背景を補足すると、トランプ前大統領は、サウジアラビアとの関係を重視していました。

しかし、バイデン大統領は2月、人権外交の一環として、「ムハンマド皇太子がサウジアラビア記者のカショギ氏殺害を承認していた」という情報機関の報告書を公表し、皇太子の警備隊など76人に制裁を課しました。

結果として、中国とサウジアラビアが接近することになったわけです。

原油取引にドルを使うことは、米国のドル覇権を維持するための重要な要素でした。

サウジアラビアが米ドル決済から人民元決済に移行するようなことがあれば、これまでの枠組みを破壊する、米ドル覇権への挑戦だと言えます。

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