中国「スパイ摘発」強化。相次ぐ日本人拘束。中国の人質外交に警戒を!

幸福実現党党首 釈量子

◆反スパイ法改正、7月1日から施行

4月26日、中国は2014年に制定した「反スパイ法」を改正し、摘発対象を拡大し、今年7月1日から施行されます。

中国でビジネスをしている方は戦々恐々で、今後さらに神経をすり減らすことになりそうです。

2014年11月1日施行の従来の「反スパイ法」では、取り締まりの対象となるスパイ行為とは「国家機密」を提供することと定義していました。

今回の改正法では「国家の安全と利益に関わる文書、データ、資料、物品」を提供や窃取(盗み取ること)、買い集めにも広げました。

困るのは、「国家の安全と利益」とは何か、定義を明らかにしていないため、中国当局による恣意的な運用がなされる可能性があります。

米中が対立している半導体、先端技術は当然のこと、当局が「国家の利益」に関わると見なせば何でもありです。

また、「スパイ行為」の定義も拡大され、例えば、レアアースなど資源に関わる場所を「撮影」、政府や国有企業関係者の「接待」、台湾や香港、中国共産党等に関する「雑談」レベル、ウイグルやチベットに旅行し現地の人との「会話」もスパイ行為と見なされる可能性があります。

国家組織や重要な情報インフラに対するサイバー攻撃も含まれるようになりました。

また、国家安全を担う部署の権限も強まり、スパイ行為の疑いのある人の手荷物や電子機器を、強制的に調査ができるようにしました。

さらには、スパイ行為を発見した個人や組織に「通報義務」を課しました。

「いかなる公民・組織も、スパイ行為を発見した場合、速やかに国家安全機関に通報しなければならない」として、黙っていると罪になります。

逆に、反スパイ法に貢献した個人らは表彰されるということです。

◆「密告」を奨励

思い起こすのは、中国で1966年から76年まで行われた「文化大革命」です。

政治闘争のなか、中国では友達や同僚、家族の間でお互いの監視と密告が数多く行われて、「自分の母親を密告したら2か月後に銃殺刑に処せられた」というようなこともありました。

習近平政権が「密告」を奨励して、学生が教授の講義内容を監視し、告発するケースもすでに起きています。

「反スパイ法」に伴い、当局は密告のための電話番号やメールを公開し、整備しています。企業内の会話や、知人との食事中の会話も監視され、通報される可能性はさらに高くなりました。

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【前編】http://hrp-newsfile.jp/2023/4445/
【後編】http://hrp-newsfile.jp/2023/4446/