中国レポート② 書店の「軍事」コーナーの充実ぶりに驚き

上海の上海虹橋空港に着いたのが17時40分。
それからタクシーでホテルに向かうと、結構遅い時間になっていました。
閉店時間が迫っていましたが、書店に行くことにしました。

どこの国でも書店に漂う知的な雰囲気というのはいいものです。その国の文化や流行、知識人層の関心分野など、いろいろなものが見えてきます。

三沙市の地図を探す

市内の中型の書店に着くと、すぐ「三沙市」の地図を探してみました。
昨年、中国は、南シナ海で最初の領土紛争が起きたこの島嶼を「海南省三沙市」として行政に組み入れました。
昨年11月24日には、もう地図の初版が出ています。

南シナ海の進出

中国は、1970年以降「国際海洋法条約」で海底石油資源に関心が向けられるようになってから、積極的に海洋に進出を始めます。

1974年1月、中国は南ベトナムのパラセル(西沙)諸島を占領。
永興島は軍事要塞化し、島を串刺しするかのような、2400mの滑走路が建設されました。


当時はベトナム戦争末期で、どさくさ紛れに占領し、中国艦船と空軍機が南ベトナム兵を排除して実効支配を始めたのです。

87~90年初めになると、今度は、ベトナム南部のサンゴ礁に「高脚屋」を作って、「南シナ海は古来中国の海(歴史的水域)」と主張するようになります。

1987年4月15日には、「適当な時期に南沙諸島の島を取り戻す権利を留保している」との声明を発表。

1988年3月には、スプラトリー(南沙)諸島を実行支配。You tubeに、人間の鎖を作って抵抗するベトナム兵に一斉射撃してなぶり殺す映像がアップされています。
↓↓
https://www.youtube.com/watch?v=dTlZQUTdlRk

気になる尖閣諸島ですが、中国の地図を見ると、「釣魚島」として、日本とも中国ともつかないようなあいまいさをにおわせながら、台湾の横に浮いています。

ここが中国の一部にされようとしているにもかかわらず、1月27日には日比谷野外音楽堂で「オスプレイ反対」の集会が行われ、28日には沖縄の市町村長41人が安倍首相への「要望書」を提出しました。県民の総意だという報道もなされています。
小さなリスクばかり叫んで、大きなリスクが来ることが分かっていないと言わざるを得ません。

ちなみに1月29日、「中国の脅威から尖閣・沖縄を守ろう!実行委員会」(代表・徳留博臣氏)とともに、幸福実現党はオスプレイ配備賛成の集会を首相官邸前で開催して、安倍晋三総理大臣へ要望書を提出しました。私も官邸前で訴えさせていただきました。

軍事知識の欠如が招く危機

オスプレイ反対、米軍基地反対もいいです。でもそれが「日本で自主防衛します」というのとセットでなければ、「中国の属領になっても構いません」と自分たちで言っているのと同じになってしまいます。

どうしてこんなことがわからないのか。
しかし中国の書店で気づくものがありました。

ここはものすごく軍事情報が充実しています。
『孫子の兵法』から始まって、最新の軍事情報までびっしり棚を占めています。
「革命は銃口から生まれる」という毛沢東の言葉が象徴する軍事国家ならではです。

中国だけでなく、海外では、軍事知識が「教養」の一つであることを、幸福実現党・大川隆法総裁は何度も何度も指摘しています。まさしく、勉強がいる分野なのですが、日本人は軍事問題を日常的に考えていないので、意味が分からないのです。

特に「核」に対するタブーは強く、「広島・長崎」で思考停止してしまいます。
そうなると核保有の意味も分からないし、北朝鮮が長距離ミサイルを「平和利用の衛星だ」と強弁するど、「そうですか」で終わってしまいます。

「この偏見の問題の責任は、左翼ではなく、右翼・保守にある。
右翼・保守がもっと覚醒し、真実を正しく認識しない限り、日本の核アレルギーは払拭できないだろう」

こう警鐘を鳴らしているのが、中国軍事の平松茂雄氏です。

中国に対して「あんな国に核兵器が造れるものか」と言って現実から目をそらしてきた。
中国が核を持つと「米国の核があるから大丈夫だ」と言っている。
しかしその米国が本当に核で日本を守ってくれるのか、信頼していいのか分からない状況が来ているのに、それで中国の核兵器のことは誰も語ろうとはしない。

ここに一番の問題があるのだ。現実を正しく認識し、勇気をもって発言することが必要である。
広島・長崎の呪縛は本当に恐るべきことである。さらに東日本大震災で福島の呪縛も出てきて、強度の核アレルギーになっている。
しかし、そうした呪縛にとらわれていては、真実は見えてこない――。
この辺りは、最新刊『実践・私の中国分析―「毛沢東」と「核」で読み解く国家戦略』(幸福の科学出版)に詳述されています。

今、世界中が、中国の国家指導者の考えていることを探り、国家戦略を分析し、次に中国がどのように出てくるのかを読む、壮絶な知力戦に置かれています。
日本も、一定の軍事知識をタブー視することなく報道し、議論できるレベルにならないと、自分の国を守ることができないことを感じました。
(つづく)