幸福実現党党首 釈量子
◆史上最悪の「食料危機」が到来
世界中のメディアがロシアとウクライナにくぎ付けになるなか、水面下でジワジワと食料危機が進行しています。
5月4日、「世界食糧計画(WFP)」(※1)は、突発的な事案で十分な栄養を摂取できずに命や生活を危険にさらす状態を示す「急性飢餓」の人口が、2021年から約4000万人も増加、過去最悪の1億9300万人に上ったことを明らかにしました。
3月末にWFPのビーズリー事務局長は「ウクライナでの戦争は第2次世界大戦以降、目にしたことのないような大惨事を地域の農業と世界の食糧・穀物供給をもたらそうとしている」とし、「大惨事の上の大惨事」と最大級の警告で表現しています。
なぜなら、今回の戦争が、世界有数の穀倉地帯ウクライナとロシアとの間で行われているからです。
◆世界の2つの「食料庫」を直撃するウクライナ戦争
FAO(国連食糧農業機構)が毎月発表している、世界の食料価格指数(肉、酪農品、穀物、野菜・油糧、砂糖、2014~2016年平均=100)を見ると、2022年2月には1990年の統計以来の最高値141.1ポイントを記録しています。
更にウクライナ戦争が本格化した3月度は159.7と食料全体で未曽有の高騰を見せています。その中でも上昇が目立ったのが穀物で、170.1とこちらも過去最高値となっています。(※2)
小麦の世界の生産量は、2021年が7億7587万トンです。ロシアとウクライナの合計は、1億1835万トンで、2か国の生産規模は、全体の13.5%にあたります。
また、小麦の輸出量ベースを見ると、ロシアは世界第1位、ウクライナが世界第5位、2か国合計で国際穀物市場に流通する小麦の約25%~30%を占めます。
両国に小麦輸入の3割以上を依存している国がなんと50か国近く(世界196か国中)もあるという驚くべき状況です。
フランスのデータ分析会社(ケイロス)は6日、ウクライナの22年度産の小麦生産量は前年比で35%以上減少する見通しだと発表しています。
トウモロコシについても、ウクライナが世界第4位の輸出国で、世界の約20%を賄っています。
植物油の原料になるヒマワリ油に至っては、ロシア・ウクライナの2か国だけで世界流通の70~80%を占めているのです。
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【前編】http://hrp-newsfile.jp/2022/4269/
【後編】http://hrp-newsfile.jp/2022/4271/