中国共産党・軍拡の歩み 100 [アー・ユー・ハッピー 2012年10月号記事]

Are You Happy? 2012年10月号中国共産党・軍拡の歩み 100

8 月16 日の香港の活動家による尖閣諸島上陸事件で、にわかに高まる日中間の緊張。しかし、中国の脅威は昨日今日に始まったことではなく、中国は1949 年の建国以来、中長期的な計画の下で着々と軍事大国への道を歩んでいるのです。今回、編集部では、中国の軍事拡張と民主主義弾圧の歴史を100 項目に絞って年表化。個々のニュースだけでは見えにくい、中国の覇権主義の脅威を明らかにします。

 

中国共産党による「解放」とは

「解放」とは、「欧米の帝国主義や資本家の搾さく取しゅから人民を解放する」ことを意味する。しかし、その実態は「侵略」であり、中国の自治区となったチベットやウイグルなどでは、「解放」後、人権弾圧や宗教弾圧、民族浄化(粛清や漢民族化)が常態化した。日本も他人事ではなく、近年、「日本に侵略された琉球の同朋を解放せよ」という論調も聞かれるようになり、2010 年の成都と 市の反日デモでは「収回琉球、解放沖縄」(琉球を取り戻し、沖縄を解放せよ)という横断幕が掲げられた。

 

なぜ、毛沢東は核武装を決断したのか

1950 年代前半、中国はアメリカから再三、核による恫どう喝かつを受けていた。まず1953 年、朝鮮戦争で中国が北朝鮮を支援したとき、休戦に応じなければ満州の基地に核攻撃をすると脅された。さらに、1954 年に中国がインドシナ戦争に介入しようとしたときと、1955年に中国が台湾の一江山島を武力侵攻したときも同様の恫喝を受けた。これらの屈辱が、毛沢東に、「今日の世界で他人の侮りを受けたくなければ、原爆を持たないわけにはいかない」と、核武装を決断させたと考えられている。

 

東シナ海の石油ガス田問題

中国は90 年代後半から、日中中間線付近や、ときには日本側海域で独自にボーリング調査を行う、日本側の承諾なしに石油ガス田施設を建設するなど、強硬に海洋資源開発を進めている。地下でつながる日本側の資源も取られている可能性がある。

 

西太平洋の海洋調査

「海洋調査」と聞くと日本人は、学術調査や資源調査のような平和目的の調査を連想するが、中国の場合は、有事の際の潜水艦の展開や海の地雷である機雷設置のための、軍事目的の調査である可能性が高い。

 

中国軍幹部の相次ぐ過激発言

遅浩田元国防部長(2005.4.23)

「中国は自己の発展権を守るために、戦争の準備をしなければいけない」「戦うならば、日本を全面的に破滅させ、アメリカを不具にさせなければならない。これは核戦力だけが任に堪え得るものである」などと発言。

朱成虎少将(2005.7.6)

「アメリカが台湾海峡での武力紛争に軍事介入し、中国を攻撃した場合、中国は核兵器を使用し、対米攻撃に踏み切る用意がある」「アメリカと核戦争になった場合、中国は西安以東のすべての都市が破壊されることを覚悟する。アメリカも数多くの都市が破壊されることを覚悟しなければならない」などと発言。

 

中国の軍拡の先にあるのは「日本占領」である今こそ中国の脅威を直視せよ

私たち日本人の「中国」に対するイメージというのは、三国志、パンダ、中華料理に烏龍茶といった牧歌的なものでした。しかし2012年の今こそ「中華人民共和国」という国を“正しく見る”ことができないと、もう手遅れです。尖閣諸島ばかりか「日本占領」の危機……というと「大げさな!」と言われるかもしれません。

しかし、どうでしょうか。今回「中華人民共和国・軍拡の歩み」という“事実”を時系列で直視するだけでも、この国の本質が軍事であることがわかります。またこの因果の連鎖をたどれば、彼らがこれから何をしようとしているのかも、見えてくるのではないでしょうか。

中国共産党は、1949 年の建国以降、チベットやウイグルだけでなく、国境を接するすべての国を宣戦布告することなく侵略してきました。中国の「平和解放」という言葉は、「武力侵攻」という意味です。そしてとどまることなく拡大していく中国は、間もなく米軍を追い抜き、世界一の軍事大国になろうとしています。

その自信の根源にあるのが、「核」です。

日本が東京オリンピックで沸きたつ1964年、中国は最初の核実験に成功。また1970年、日本が大阪万博で盛り上がっている最中に、人工衛星の打ち上げに成功。これは同盟国である日本の主要都市と米軍基地に核を落とせるようになったことを意味しています。

中国にとって「宇宙開発」が平和利用であるわけがないことも、年表を見れば一目瞭然です。ロケットが大気圏に飛び出した後、誘導電波で放物線を描いて地上の標的に命中させれば、ミサイルになります。衛星の代わりに核を乗せれば、核ミサイルが完成し、ボタンひとつで私たちの町に飛んで来るようになっています。しかし、こんなに大事なことを、なぜか日本のマスコミは報道しません。そもそも中国の宇宙開発は、人民解放軍の第二砲兵部隊という核ミサイル部門が担当しているのです。

この揺るぎない国家戦略を引いたのが、中国建国の父・毛沢東です。毛沢東は1949 年に「二度と我々の国土を侵略するのを許さない」と宣言し、アヘン戦争で帝国主義列強に国土を踏みにじられた強烈な悔しさを原点に、失地回復を打ち出します。しかし、アヘン戦争とはまったく関係ない沖縄などの地域も「奪われた」と主張しているのは中華帝国主義ならでは。そして二度と侮辱されないための国家戦略として、①核開発、②海洋進出、③宇宙進出の三つを決定づけました。

2021年は、毛沢東が中国共産党を作ってから100 周年です。すでに公表されている情報では、2020 年までに、中国は宇宙ステーション、中国版GPS 等を完成させ、ミサイルの精度を高め、横須賀から出航するアメリカの第七艦隊を巡航ミサイルで撃沈させる力さえ持つといわれます。悲願の台湾の軍事統一も、2021年までに必ずやるといわれています。この秋、最高指導者になる習近平氏も、これまでの国家指導者と比較にならないほど強気に出る可能性が高いことも、考慮に入れねばなりません。

2020 年までに、いえ、できるだけ早く、日本の憲法九条を改正しなければいけません。あと数年です。時間がありません。ですから、どんなにタレント性のある政治家でも「中国の核」の脅威を語らないなら、それは偽物です。「最低でも県外」などといって米軍を追い出そうとうする元首相は、「日本人民4 4」として中国の手駒に使われているのであり、私たちが命を預けたら取り返しがつかない人たちです。

なにも私たち幸福実現党は、戦争を起こしたいのではありません。この日本列島と日本人全員を本気で守り切ろうとするとき、核武装だって本気で考えなくてはならないのです。

 

悪名高い「文化大革命」とは

毛沢東が主導した、封建文化や資本主義を批判し、社会主義文化を築くための改革運動。資本家や知識人、毛沢東と対立する政治家らが弾圧・粛清された。毛沢東思想に心酔した学生を中心に結成された紅衛兵も運動の一翼を担った。宗教や儒教、伝統文化も徹底的に否定され、多くの宗教施設や文化財が破壊された。1976 年に毛沢東が死去して終息し、1980 年代以降は、「重大な誤り」として全面否定されている。

 

戦略的! 中国の海洋進出

1964 年に「国家海洋局」ができると、中国は戦略的に制海権を拡大し始める。まず、アメリカとベトナムがベトナム戦争で忙しくしている間に、南シナ海の西沙諸島に進出。米軍がベトナムから撤退すると、翌年にベトナムと武力衝突し、ベトナムが領有権を主張する主要な島を占領した。米軍が撤退して生まれた軍事的空白につけ込むのが中国の常じょう套とう手段で、1992年に米軍がフィリピンから撤退すると、フィリピンが領有権を主張する南沙諸島のミスチーフ環礁を占領した。

 

2008 年チベット騒乱

デモの背景には、その年に開催された北京五輪があったという。中国は聖火リレーの聖火をエベレストの頂上まで運んだが、エベレストは本来、中国領ではなくチベットの聖地。五輪マスコットに使用されたパンダやチベットカモシカも、チベットを代表する動物である。中国が五輪を利用して、「チベットは中国の一部である」ことを既成事実化しようとしていることへの反発が、デモの一因となった。

 

「国防動員法」とは

国内有事の際、18 ~ 60 歳の男性と18 ~ 55 歳の女性が国防の義務を負うことを定めた法律。中国国外に住む中国人も対象となる。個人や組織が持つ物資や生産設備は必要に応じて徴用され、交通、金融、マスコミ、医療機関も必要に応じて政府や軍が管理する。また、日系企業を含め、中国に進出している外資系企業も対象となることから、実際に措置が取られた場合、国際的影響が出ることも懸念されている。

 

羅援少将の「尖閣のための六大戦略」(概略)

  1.  行政:「中国台湾宜ぎ 蘭県釣魚島鎮」を設置する。
  2.  法律:釣魚島周辺の領海基線を定める法律を制定する。
  3.  軍事:釣魚島付近に軍事演習地区、ミサイル試験発射地区を設置する。必要があれば、釣魚島を射的場とする。
  4.  法執行:国家海岸警備隊を早急に立ち上げ、海上で法を執行する中核にする。
  5.  経済:漁業開発、石油・天然ガス開発、観光開発を担う「釣魚島経済開発グループ」を設立する。釣魚島主権ファンド(あるいは宝くじ)を発行し、資金を集める。
  6.  世論:国連や各大使・領事館に、中国が釣魚島を所有してきた歴史と法的根拠をアピールし、資料を配布する。

※釣魚島は、魚釣島の中国側の呼び名

 

福建省に建設中の空軍の水門飛行場

戦闘機で、白樺ガス田まで約7 分、尖閣諸島まで約12 分の距離。羅津港は1930 年代に、日本が満州と日本本土を結ぶ最短航路として開発した港。高速艇を使えば新潟まで数時間で来ることができるという。