師走の総選挙、幸福実現党は「この国に、もっと自由を。」とのキャッチフレーズを掲げ、戦いました。「8%から5%への消費減税」はじめ、公約に賛同のお声をいただきながらも、当選者を出すには至りませんでした。日本経済の先行きやわが国を取り巻く厳しい安全保障環境を考えるにつけ、私たちの政策を国政に直接反映させることができない現状に忸怩(じくじ)たる思いです。
選挙は安倍晋三政権の圧勝に終わりましたが、白紙委任するわけにはいきません。アベノミクスの考え方自体は、わが党がかねて主張してきた政策でもあり、方向性を間違ってはいませんが、消費増税を認めることはできません。4月の消費税率引き上げ以降、消費は大きく落ち込み、景気が低迷。2期連続のマイナス成長となっていることからも、増税が招くのは日本経済の沈没にほかならないのです。
安倍首相も消費税率の10%への再引き上げを2017年4月まで延期する方針を表明しました。しかし、いずれ再増税を断行すれば、さらなる消費低迷を招き、日本経済が大きなダメージを受けることは避けられません。
日本の大繁栄のために必要なのは増税ではなく、「安い税金」の「小さな政府」です。5%への消費税率引き下げはじめ、大胆な規制緩和により国民生活への政府関与を大幅に縮小することで、民間の自由をもっと拡大し、力強い経済成長を図るべきなのです。
また、国家国民を守り抜くには、憲法改正による国防強化が急務です。今回、自公両党で憲法改正の発議に必要な3分の2以上の議席を確保したことで、公明党が慎重姿勢とはいえ、改憲への道筋が見えてきてはいます。左翼陣営からは安倍政権の暴走を危惧する声もありますが、中国の軍事的台頭の一方で、米国が凋落傾向にあるのは誰の目にも明らかです。国際情勢が激変するなか、もはや空想的平和主義に逃げ込んでいる場合ではないのです。
この国を強く、豊かにするために何をなすべきなのか-。経済政策の失敗により政権の命運が尽きれば、憲法改正など夢のまた夢になってしまうことを安倍首相は心すべきでしょう。
(幸福実現党党首・釈量子)